結論|養育費や慰謝料の取り決めがある場合は、公正証書の作成を検討しましょう
離婚の際には、養育費や財産分与、慰謝料、面会交流など、将来に関わるさまざまな事項を話し合います。
これらの内容を離婚協議書にまとめることは大切ですが、継続的な金銭の支払いがある場合には、公正証書として作成することを検討する価値があります。
公正証書にしておくことで、合意内容が公文書として残り、一定の条件を満たせば支払いが滞った際の対応もしやすくなります。
この記事では、離婚公正証書の基本から、離婚協議書との違い、メリット、作成手順、費用、行政書士へ依頼するメリットまで詳しく解説します。
離婚公正証書とは?
離婚公正証書とは、夫婦が離婚に際して合意した内容を、公証人が法律に基づいて作成する公文書です。
当事者だけで作成する離婚協議書とは異なり、公証役場で作成されるため、高い証明力があります。
特に、養育費や慰謝料などの金銭支払いを伴う取り決めがある場合に利用されることが多くあります。
公証人とは
公証人は、法務大臣から任命された法律の専門家です。
当事者双方の意思を確認したうえで、公正証書を作成します。
公証役場とは
公証役場は、公正証書の作成や認証などを行う公的機関です。
全国各地に設置されており、原則としてどの公証役場でも手続きが可能です。
離婚協議書との違い
「離婚協議書と何が違うの?」という質問は非常によくあります。
| 項目 | 離婚協議書 | 離婚公正証書 |
| 作成者 | 当事者 | 公証人 |
| 文書の性質 | 私文書 | 公文書 |
| 作成場所 | 自由 | 公証役場 |
| 証明力 | あり | より高い証明力 |
| 強制執行認諾条項 | 付けられない | 付けることができる |
離婚協議書でも合意内容を書面に残すことはできますが、公正証書には公文書ならではの特徴があります。
離婚公正証書を作成するメリット
公文書として証拠が残る
公証人が作成するため、内容や作成日時が明確になります。
後になって「そのような約束はしていない」といった争いを防ぐ効果が期待できます。
支払い内容を明確にできる
養育費や慰謝料について、
- 毎月の金額
- 支払期限
- 支払方法
- 振込口座
- 支払期間
などを具体的に定めることができます。
強制執行認諾条項を付けられる
養育費や慰謝料などの金銭支払いに関する公正証書には、強制執行認諾条項を付けられる場合があります。
これにより、相手方が支払い義務を履行しない場合、一定の条件のもとで強制執行の手続きが可能となることがあります。
この点は、通常の離婚協議書との大きな違いの一つです。
どのような場合に公正証書を作成した方がよい?
次のようなケースでは、公正証書の作成を検討するとよいでしょう。
養育費を長期間支払う場合
子どもが未成年の場合、養育費は長期間にわたることがあります。
支払いについて明確な取り決めを残しておくことは、将来の安心につながります。
慰謝料を分割払いにする場合
分割払いでは、支払い期間が長くなることがあります。
支払い方法や期限を明確にしておくことで、後日のトラブルを防ぎやすくなります。
財産分与を分割して行う場合
住宅の売却や分割払いなど、一度で完了しない財産分与についても、公正証書が役立つ場合があります。
離婚公正証書の作成手順
STEP1 夫婦で内容を話し合う
親権、養育費、財産分与、慰謝料などについて合意します。
STEP2 内容を整理する
合意事項を整理し、公正証書に盛り込む内容を決めます。
STEP3 公証役場へ事前相談・予約
公証役場へ連絡し、必要書類や日程を確認します。
STEP4 公正証書案を作成する
当事者または専門家が内容をまとめ、公証人と調整します。
行政書士に依頼する場合は、この段階で文案作成や必要書類の整理についてサポートを受けられることがあります。
STEP5 公証役場で署名・作成
当事者双方が内容を確認し、公証人の面前で署名・手続きを行います。
必要書類
一般的には次のような書類が必要になります。
- 本人確認書類
- 印鑑登録証明書(必要な場合)
- 戸籍謄本
- 離婚届(提出前の場合)
- 不動産関係資料(財産分与がある場合)
- 年金分割に関する資料(必要な場合)
必要書類は内容によって異なるため、公証役場や専門家に確認しましょう。
公正証書作成にかかる費用
公正証書の作成には、公証人手数料がかかります。
手数料は、目的や記載内容、金額などによって異なります。
また、行政書士へ作成支援を依頼する場合は、別途報酬が必要となることがあります。
費用については、事前に見積もりや説明を受けておくと安心です。
行政書士へ依頼するメリット
内容を整理してもらえる
夫婦の合意内容を整理し、公正証書に適した形でまとめるサポートを受けられます。
記載漏れを防げる
重要事項の漏れや曖昧な表現を防ぎ、将来のトラブル予防につながります。
公証役場との調整をスムーズに進められる
必要書類の案内や文案作成などについてサポートを受けられるため、手続きを円滑に進めやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1 離婚公正証書は必ず作成しなければなりませんか?
法律上の義務はありませんが、継続的な金銭の支払いがある場合は作成を検討することをおすすめします。
Q2 離婚後でも作成できますか?
当事者双方の合意があれば作成できる場合があります。ただし、離婚前に作成しておく方が手続きを進めやすいケースもあります。
Q3 代理人だけで手続きできますか?
代理人による手続きが認められる場合もありますが、委任状などが必要になります。詳しくは公証役場へ確認してください。
Q4 公正証書があれば必ず強制執行できますか?
強制執行認諾条項が付いていることなど、法律上の要件を満たす必要があります。個別の状況によって異なるため、事前に専門家へ相談することをおすすめします。
まとめ
離婚公正証書は、離婚後の約束を公文書として残し、養育費や慰謝料などの支払いに関する取り決めを明確にするための重要な書類です。
特に、将来にわたって金銭の支払いが予定されている場合には、公正証書を作成することで安心につながるケースがあります。
離婚協議書とあわせて、自分たちの状況に適した方法を選択することが大切です。
無料相談のご案内
当事務所では、離婚公正証書の作成に向けたご相談から、離婚協議書の作成支援、公証役場との調整までサポートしています。
「公正証書を作成した方がよいのか判断できない」「どのような内容を記載すればよいか分からない」といったお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
関連記事
- 離婚協議書とは?必要な理由・書き方・公正証書との違いを行政書士が徹底解説
- 離婚協議書に記載すべき内容とは?養育費・財産分与・親権・年金分割まで行政書士が徹底解説
- 養育費の取り決めで後悔しないために|離婚協議書・公正証書のポイント
- 財産分与とは?対象となる財産・割合・手続きを行政書士が解説
- 年金分割とは?離婚時に知っておきたい制度・手続き・注意点
Quiz – クイズ
〜未払いトラブルを防ぐ重要チェック〜
養育費や慰謝料の約束を確実なものにする「公正証書」のポイントを確認しましょう
第1問: 私的な「離婚協議書」と比較した際、離婚公正証書を作成する最大の強み(特徴)はどれでしょうか?
第2問: 高い証明力を持つ「離婚公正証書」を作成する公的な機関および作成者はどれでしょうか?
第3問: 離婚協議において、私文書ではなく「公正証書」の作成を特に強く推奨するケースはどれでしょうか?
